ちょっとしたうんちく「インフルエンザ菌」の名前の由来

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「インフルエンザ菌」の名前の由来

ちょっとしたうんちく「インフルエンザ菌」の名前の由来

ちょっとしたうんちく 「インフルエンザ菌」の名前の由来

~呼吸と健康のコラム~
 ちょっとしたうんちく —-♪「インフルエンザ菌」の名前の由来♪—-

 医療者の間ではよく知られている話ですが、一般の方も知っているとちょっとした話のネタになるので、今回は「インフルエンザ菌」の名前の由来についてご紹介します。

 肺炎の原因となる細菌のひとつに、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)があります。肺炎の患者さんにお伝えすると、感冒を起こすインフルエンザウイルスを連想される事が多いですが、実はインフルエンザ菌はインフルエンザの原因ではありません。

では、なぜこのような名前がついたのでしょうか。
 1889~1890年にかけて、世界中で「ロシアかぜ」と呼ばれる大流行が起こりました。1892年、ドイツの細菌学者 Richard Pfeiffer は、患者さんから繰り返し検出される細菌を発見し、「これこそがインフルエンザの原因菌である」と考えました。このため、この細菌は「インフルエンザ菌」と呼ばれるようになりました。

その後も世界では大規模なインフルエンザの流行が続きました。特に1918~1919年に流行した「スペインかぜ」では、世界で推定5,000万人以上が亡くなったとされ、第一次世界大戦による戦死者数を上回るともいわれています。
 当時の医師たちは、スペインかぜの患者さんからもしばしばインフルエンザ菌を検出したため、依然としてこの細菌が原因であると考えていました。しかし、患者さんによってまちまちで、はっきりしない状況がつづきました。

  当時、日本でも東京帝国大学学派(伝染病研究所)と北里学派(北里研究所)の間で、インフルエンザの原因が「インフルエンザ菌なのか、それとも未知の病原体なのか」をめぐる論争が行われた記録が残っています。また、インフルエンザ菌に対するワクチン開発も試みられていました。(図 参照)

     

 その後、1933年、英国の研究者たちによって、インフルエンザの本当の原因は細菌ではなくウイルスであることが証明されました。電子顕微鏡の発達により、実際にインフルエンザウイルスの姿が確認されるようにもなりました。こうして、インフルエンザの原因ではないにもかかわらず、「インフルエンザ菌」という名前だけが今も残こっています。

 現在もインフルエンザ菌は、
中耳炎
副鼻腔炎
気管支炎
肺炎
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪

などの原因菌としてよく知られていて、薬剤耐性を獲得したBLNAR(β-lactamase negative ampicillin-resistant)が増えている事が問題になっています。
医療・治療薬の発達によってできたことですので、昔のインフルエンザ菌にはなかったことと思います。

「インフルエンザ菌はインフルエンザの原因と考えられていた昔の勘違いが今も残っている」
 そんな医学史のちょっとした豆知識、いかがでししたでしょうか。
 話のネタになれば幸いです。

参考文献
 1. Smith W, Andrewes CH, Laidlaw PP. A virus obtained from influenza patients. Lancet. 1933;222:66-68.
 2. Taubenberger JK, Morens DM. 1918 Influenza: the mother of all pandemics. Emerg Infect Dis. 2006;12:15-22.
 3. Langford BJ, et al. Bacterial co-infection and secondary infection in patients with COVID-19: a living rapid review and meta-analysis. Clin Microbiol Infect. 2020;26:1622-1629.
 4. 国立感染症研究所. インフルエンザ菌感染症.
 5. Centers for Disease Control and Prevention. History of 1918 Flu Pandemic.

 京都市北区紫竹のたけむら内科・呼吸器内科クリニックでは急な発熱、感冒、細菌性肺炎などの診断、治療を行っています。土・日曜診療も行っています。

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