CPAPを快適に続ける7つのコツ
CPAPを快適に続ける7つのコツ
CPAPを快適に続ける7つのコツ
~意外と知らないマスクの使い方と睡眠の話~ 2026年10月18日更新
睡眠時無呼吸症候群の治療で使われるCPAP(シーパップ)。
診察していると、「使い始めてから朝がすっきりするようになった」「昼間の眠気がなくなった」と喜んでくださる患者さんがいる一方で、「マスクが気になって眠れない」「朝になると外してしまっている」「鼻や口が乾いて困る」といった相談もよく受けます。
ちょっとした工夫で、とても使いやすくなることもありますので、
今回は、日頃の診療で患者さんにお伝えしていることを中心に、7つのコツをご紹介します。
1. マスクはきつく締めればいい、というものではありません
「空気が漏れるので、マスクをきつく締めています」
こんなお話を聞くことがあります。
でも実は、締めすぎるとかえって空気が漏れたり、顔に跡がついたりすることがあります。
マスクのクッションは、適度な圧力で顔にフィットするように作られています。
大切なのは、強く締めることよりも、自分の顔に合ったマスクを選ぶことです。
リークの少ない方にはもう少し緩めても大丈夫ですよとお伝えしています。それから、もう一つ。
マスクには、吐いた息を外へ逃がすための小さな排気口があります。
ここから空気が出ているのは正常なことですので、塞がないようにしてください。
2. 「4時間使えば十分」と思っていませんか?
CPAPでは、1晩4時間以上の使用が、治療の継続状況を評価する一つの目安としてよく使われます。
でも、私は患者さんに「できれば朝まで使ってくださいね」とお話ししています。
というのも、睡眠の後半、特に明け方はレム睡眠が多くなるからです。
レム睡眠では筋肉の緊張が弱まり、無呼吸が悪化しやすい方もいます。
つまり、寝始めの4時間だけ使って、朝方に外してしまうと、無呼吸が起こりやすい時間帯を治療できていないかもしれないのです。
4時間は一つの目安であって、治療のゴールではありません。
また、レム睡眠は記憶や感情の整理、心の健康を保つうえでも大切な役割を果たしていると考えられています。
せっかくCPAPを使うのであれば、無呼吸が起こりやすい明け方の睡眠もしっかり守ってほしいと思います。
慣れてきたら、できるだけ朝まで使うことを目指しましょう。
3. 朝、口がカラカラになる方は、鼻を疑ってみましょう
「朝起きると、口の中がカラカラになります」
これもよくあるご相談です。
こうした場合、私はまず鼻の状態を確認します。
鼻が詰まっていると、眠っている間に口が開いてしまい、そこから空気が漏れていることがあります。
アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎が隠れていることもありますし、加温加湿器の調整だけで楽になる方もいます。
もちろん、マスクの種類や口呼吸の習慣なども関係します。
CPAPが合わないと思っていた方が、鼻の治療やマスクの調整によって使いやすくなることもあります。
CPAPを快適に使うには、鼻の通りがとても大切です。
4. 寝る前にCPAPに慣れる練習をしてみる
CPAPをつけると、かえって眠れなくなる。
特に使い始めの頃は、そんな方もおられます。
私がおすすめは、眠るとき以外にも少しマスクをつけてみることです。
例えば、テレビを見ながら10〜15分ほどつけてみる。
最初はマスクを顔に当てるだけでも良いと思います。
慣れてきたら機械を動かして、実際に呼吸してみましょう。
また、空気の圧力が強く感じられて眠れない方もおられます。
CPAPには、眠りにつくまで低い圧力から徐々に上げていく機能を備えた機種もあります。
マスクの違和感や圧力が気になる場合は、機械の設定やマスクの種類を見直すことで、使いやすくなることがあります。
少しずつ慣れてゆくようにしましょう。
5. 夜中にマスクを外してしまうのには、理由があるかもしれません
「寝るときはちゃんとつけているのに、朝起きたら外れているんです」
これも診療でよく経験する問題です。
寝ぼけて無意識に外してしまうこともありますが、鼻づまり、マスクからの空気漏れ、圧力の違和感など、何か外したくなる理由があるのかもしれません。
マスクの種類を変えたり、サイズを調整したり、加湿や圧力の設定を見直したりすることで、改善する場合もあります。
ただ頑張ってつけるのではなく、なぜ外してしまうのか、一緒に原因を考えてみましょう。
6. 冬になると、CPAPが使いにくくなることがあります
これから寒くなる季節です。
冬になると、「鼻が乾く」「喉が痛い」「ホースの中に水がたまる」といった相談が増えることがあります。
寒い季節は空気が乾燥するため、CPAPの加湿が足りないと不快に感じることがあります。
そんなときに役立つのが、加温加湿器です。
また、機種によってはホースを温める「加温チューブ」も利用できます。
ホース内の結露を減らすのにも効果的です。
夏と冬で同じ設定が違っても良いと思います。
季節に合わせて調整することで、使い心地が変わることもあります。
7. 毎晩使っているから大丈夫、とも限りません
最近のCPAPは、なかなか優秀です。
何時間使ったかだけでなく、使用中にどれくらい無呼吸が残っているか、マスクから空気が漏れていないかなど、さまざまなデータを記録しています。
診察では、こうしたデータを患者さんと一緒に確認しています。
毎晩きちんと使っていても、空気漏れが多かったり、無呼吸が十分に改善していなかったりすることがあります。
逆に、データは良好なのに、患者さん自身はあまり眠れた感じがしないということもあります。
データだけではご本人がどう感じているかはわかりません。
「ちゃんと使えているのかな?」「本当に効果が出ているのかな?」と思ったら、遠慮なくご相談ください。
~CPAPは我慢する治療ではありません~
CPAPは、眠っている間に空気の力で気道を広げ、無呼吸を防ぐ治療です。
基本的には、つけている間に効果を発揮します。
なので、長く続けられることが大切です。
CPAPが使いづらいと感じておられる場合は、マスクの種類、鼻の状態、加湿、圧力の調整などの工夫で少し楽になることもありますので、無理な我慢ややめてしまったりする前にご相談ください。
本来CPAPは「仕方なく使うもの」から、「使った方がよく眠れるもの」であるべきと思います。

参考文献
1. Patil SP, et al. Treatment of Adult Obstructive Sleep Apnea with Positive Airway Pressure: An American Academy of Sleep Medicine Clinical Practice Guideline. J Clin Sleep Med. 2019;15(2):335–343.
2. Weaver TE, et al. Relationship Between Hours of CPAP Use and Achieving Normal Levels of Sleepiness and Daily Functioning. Sleep. 2007;30(6):711–719.
3. Bachour A, et al. Practical Aspects of Interface Application in CPAP Treatment. Can Respir J. 2019
4. Schwab RJ, et al. An Official American Thoracic Society Statement: Continuous Positive Airway Pressure Adherence Tracking Systems. The Optimal Monitoring Strategies and Outcome Measures in Adults. Am J Respir Crit Care Med. 2013;188(5):613–620.
執筆・文責:竹村 佳純
(院長・日本呼吸器学会 呼吸器専門医)
公開日:2026年10月18日
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