喘息治療 ~吸入効率のお話し~

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喘息治療 吸入効率

喘息治療 ~吸入効率のお話し~

~喘息治療 吸入効率のお話し~

咳喘息や喘息治療の中心となる薬は吸入ステロイド薬です。
「吸入した薬はそのまま肺に届く」と思われる方も多いのですが、実際には吸入した薬のすべてが肺へ到達するわけではありません。
薬剤や吸入デバイス、吸入方法によって異なりますが、一般に肺へ到達する割合(肺内沈着率)はおよそ10~50%程度と報告されています。
残りの薬剤は口腔や咽頭に付着したり、呼気として体外へ排出されたりします。

昔の吸入器は肺への到達率が低かった
従来型の加圧噴霧式吸入器(pMDI)では、肺へ到達する薬剤は約10~20%程度とされていました。
そのため薬剤の多くが口やのどに付着し、

・声がかれる(嗄声)
・口腔カンジダ症
・のどの違和感

などの原因となることがありました。

最近の吸入器は大きく進歩しています
近年は粒子径や噴霧技術が改良され、薬剤が肺の奥まで到達しやすくなっています。
特に超微粒子製剤(extrafine particle formulation)では、肺内沈着率が40~60%程度に達することが報告されています。
薬剤が効率よく肺へ届くことで、

・少ない薬剤量でも十分な効果が期待できる
・肺の奥にある末梢気道まで治療できる

といった利点があります。

特に重要なのは「末梢気道」と考えられています
気管支は木の枝のように何度も分岐しながら肺の奥へ続いています。
近年の研究では、喘息の炎症は太い気管支だけではなく、直径2mm未満の末梢気道(small airways)にも存在することが明らかになっています。
この末梢気道の炎症は、咳や息苦しさ、喘息コントロール不良の原因の一つと考えられています。
そのため、薬剤を肺の奥まで届けることが喘息治療において重要になっています。
実は「吸い方」が最も重要です

どんなに優れた吸入薬でも、

・吸う速さが適切でない
・吸入後の息止めができていない
・吸入器の操作方法を間違えている

と、肺への到達率は大きく低下します。

実際、吸入手技を見直すだけで喘息コントロールが改善することは珍しくありません。
また喘息発作時には気道が狭くなっているため、薬剤が十分に末梢まで届きにくくなることがあります。
そのため、気管支拡張薬を先に使用し、気道が広がってから吸入ステロイド薬を吸入した方が効率的な場合もありますし、スペーサーを用いたり、いろんな工夫があります。
詳しくは主治医とご相談ください。

当院からのひとこと
吸入薬は「処方されたから効く薬」ではなく、「肺に届いて初めて効く薬」です。
現在の吸入器は大きく進歩していますが、その効果を十分に発揮するためには正しい吸入方法が欠かせません。
当院では定期的に吸入手技の確認を行っています。
吸入方法に不安のある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

代表的な肺内沈着率の目安

デバイス 肺内沈着率
従来型 pMDI 約10~20%
DPI(ドライパウダー吸入器) 約15~40%
HFA-pMDI 約30~50%
Extrafine HFA製剤 約40~60%

※実際の肺内沈着率は吸入方法や患者背景により変動します。

また、粒子径(MMAD)が小さいほど末梢気道への到達率は高くなり、一般に1~2μm程度の粒子が末梢気道への送達に有利とされています。

参考文献

1. Global Initiative for Asthma 2025 Report. Global Strategy for Asthma Management and Prevention. 2025.

Usmani OS. Small-airway disease in asthma: pharmacological considerations. Respir Med. 2019;158:21-25.

2. Newman SP. Principles of metered-dose inhaler design. Thorax. 2005;60(1):52-56.

3. Usmani OS, Biddiscombe MF, Barnes PJ. Regional lung deposition and bronchodilator response as a function of β2-agonist particle size. Am J Respir Crit Care Med. 2005;172:1497-1504.

4. Postma DS et al. Role of small airways in asthma and chronic obstructive pulmonary disease. J Allergy Clin Immunol. 2019;144:1227-1238.

京都市北区紫竹のたけむら内科・呼吸器内科クリニックでは長引く咳、咳喘息の診断と治療を行っています。

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